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いわき市 新年度「電子回覧板」の実証実験本格化 町内会・自治会のデジタル化を
いわき市は新年度から、スマートフォンやタブレットで閲覧できる「電子回覧板」の実証実験を本格化させる。石川県金沢市のシステムソフト開発会社・シーピーユーによる地域組織の活動・運営を支援するアプリ「結ネット」を活用し、本年度は平と常磐の7カ所で区長・役員向けに展開していたが、4月以降は新たに久之浜・大久の一般住民も対象に実施し、最大で3千世帯が参加する。
従来の回覧板は市政に関する情報について、行政嘱託員、隣組長や班長を通して各世帯へ回覧・配布している。電子化することで即時性が生まれ、配る人の負担が減る。ただスマートフォンやタブレットを持たない人への支援も必要で、市は実証実験を通じて導入を見定める。
市によると、結ネットは27都道府県・約10万世帯(昨年4月末現在)の利用があり、広報紙の閲覧、総会やイベントの出欠確認、地域情報を交えた住民同士の交流が可能で、災害時の安否確認・集計にも対応している。
市内では本年度、平18、26、53の各区、中央台飯野1区、豊間区、赤井7区、草木台自治会の73世帯が協力。使いやすさを確認するため、アプリを実際に使ってもらった。
それぞれの区長・役員からは視認性を巡り、「広報紙の字が小さいので、拡大鏡を付けても見づらい」「見開きPDFは全体像が分からない」といった意見に加え、「(画面を2本の指で操作して拡大する)ピンチインを繰り返すためストレスがかかる」との声が寄せられた。
また操作性は「読むだけだと簡単」とする一方、「記事を投稿・出欠確認の操作が難しい」「高齢者はついていけない」「自身には関係ない地区の記事が投稿される」といった課題が分かった。
市では広報いわきに対して、スクロールのみで閲覧できるように改善したほか、基本的な操作を学べる研修会を開いた。市内全体への実装時期は未定で、導入率や閲覧率、参加者評価、コスト等を踏まえて検討。町内会や自治会のデジタル化の推進を図っていく。
(写真:電子回覧板のイメージ)