岩手県大船渡市の大規模な山林火災は、2月26日の発生から1週間以上が経つが、いまだに鎮火には至っていない。現場には全国の自治体から緊急消防援助隊や消防防災ヘリが応援に駆け付けており、いわき市消防本部からも職員・車両が同27日未明から、福島県内12消防本部の緊急消防援助隊として消火活動の支援に入っている。
第1次派遣で部隊長と後方支援小隊長を務めた警防課長補佐・鈴木央さん(46)は「火災の範囲が広い上、急峻な地形でホースを伸ばすのが難しかった」と振り返る。
いわき市消防本部には2月26日午後11時ごろに要請の連絡が入り、最初の10人は翌27日午前1時半ごろに出発した。派遣は第1次隊が1日まで、第2次隊が1~4日、第3次隊が4~7日と、交代で送り込んでおり、現在まで延べ30人が向かった。7日からは第4次隊も予定しており、現地の状況から陣容の変更も検討している。
「あらゆるところがかすみがかっていた。何本も煙の柱が上がり、『難しい活動になるな』との第一印象を持った」と鈴木さん。初めての土地で地理に不案内な上、当初はどうしても担当が広範だったが、消防人として覚悟を決めた。
現場では想定しない問題も生じる。消火作業に必要な水利に関して、消火栓が使えないほか、中継送水も思うようにいかなかった。河川や海からも遠いため、40tの防災水槽はすぐに底を付き、福島市消防本部の大型水槽車でピストン輸送して対応した。
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大船渡市の山林火災は、平成以降では国内最大規模となった。いわき市でも過去にたびたび山林火災が発生しているが、最も広い焼失面積は1997(平成9)年3月に平菅波で起きたもので34・97ha。その差は歴然だ。
現地では多くの住民が不安な毎日を過ごしているが、市消防本部の職員が滞在中、「ありがとうございます」としばしば声をかけられるという。鈴木さんは「地元の人たちのためにも、一つでも多く力になりたい」と改めて強く思った。
市消防本部からは再び現地に赴く職員もいる。警防課主任主査兼警防係長の根本匠さん(43)は第1次隊に続き、第4次隊にも加わった。「第1次隊での経験を振り返って、円滑に部隊に運営していきたい」と話す。
日々状況は変化しているが、「互いに震災の被災地として復興してきた歩みがある。同じ東北の仲間として頑張ってくる」と誓った。
また市消防本部では大船渡市の山林火災を踏まえ、変わらず地元消防団と連携した消火戦術をしっかりと組み、延焼拡大が見込めれる時には早期の応援を要請することを確認した。さらに市民に対する啓発も重ね、家庭ごみの焼却や野焼きは農業上の例外を除いて法律上禁止であると呼びかけていく。
(写真:現地の状況などを語る鈴木さん=右=と根本さん)
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いわき市消防本部 岩手・大船渡で鋭意活動中 山林火災への派遣について聞く
