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いわき市 初の「街路樹管理計画」策定 伐採・せん定で適正化 良好な道路環境を
市は街路樹の適正かつメリハリのある維持管理を目指し、おおむね向こう10年間のあり方を考える「いわき市街路樹管理計画」を初めて策定した。
数値目標としては市内139路線の街路樹のうち、昨年7月現在と比較し、高木(樹高3m以上)は約50%削減の8133本→4093本、中木(同1m以上3m未満)は約57%削減の1289本→558本、低木(同1m未満)は約20%削減の6万5028平方m→5万1990平方m。伐採やせん定、植え替えで適正化を図り、質の高い街路樹づくりを進めて良好な道路環境の創出を目指していく。
市によると、市内では都市化や宅地開発を背景に、昭和40年代(1965~74年)から盛んに街路樹が植栽されたため、巨木化による道路環境への悪影響や、老木化による倒木の危険性が見受けられ、伐採後に残置された植樹ます、立ち枯れしたままの姿が景観を阻害している箇所がある。
さらに街路樹がムクドリなどの野鳥のねぐらとなり、地域住民や道路利用者からフン害や害虫の発生といった苦情も寄せられている。
街路樹そのもののコストの面でも、人口減少社会を踏まえた税収減の見通しから管理費は一層厳しくとなる予想。また落ち葉の清掃を巡り、年2回の市民総ぐるみ運動(清掃活動)で対応してきた地区では、高齢化で活動そのものが困難となると、市の負担が必然的に増えていく。
管理計画の策定に先立ち、市では昨年6月から7月にかけ、街路樹を有する市道エリアの行政区長に加え、一般市民を対象にアンケート調査を実施した。810人から回答が寄せられ、街路樹の管理状況に対する印象は54・3%が不満を持っており、街路樹の量については47・8%が多いと思っていることが分かった。
街路樹の管理協力に関する設問では、協力したいが難しい・協力したくないが計67・8%に上り、積極的な市民参加は難しいとの結果が示された。
もともといわき市は緑化推進に積極的で、1976(昭和51)年に他市に先駆けた「緑の保護及び緑の育成に関する条例」を制定。2001(平成13)年にはより一層の緑地保全や緑化推進を図るため「いわき市緑の基本計画」を策定した。
しかし現状の課題を解消するため、一定量の街路樹のストックを確保しながら、質を高めることに重きを置くこととした。
(画像:計画による取り組みの前と後の道路空間イメージ)