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「みゆきの湯」の思い出残したい 湯本駅前再開発控えイベント開催

 JR湯本駅前の市街地整備事業に伴い、3月いっぱいで営業を終えた公衆浴場「みゆきの湯」が取り壊されるのを前に、最後の思い出を残して次世代に記憶を引き継いでいくイベントが開かれた。
 写真家としても活躍する常磐湯本町三函のカフェバー「Kyoten裏湯本」代表、中村幸稚さん(48)が企画をした、送り絵と寄せ書きのイベントが19日に行われた。
 アーティストらが木の板に温泉や首長竜、抽象画を描いたほか、地域住民や観光客、湯本に思入れの深い市民らが次々と訪れては様々な絵やメッセージを木の板に書(描)き込み、同施設との別れを惜しんだ。
 いわき湯本温泉郷でここ数年、『ウラ湯本』といった言葉が行き交い、若者文化の拠点として静かな注目を集めている。
 その中心にいるのが、鶴のあし湯から入った裏通りの奥にあった空き店舗のスナックを自らリノベーション。3年ほど前に店を構え、湯本には腰を下ろして7年目を迎えるという中村さんだ。
 「正直、再開発は仕方のないことだとは思います。廃れた街を再生するには、観光地としての魅力を高めて人を呼び込まないと難しい」
 ただ、古いもの単に壊せばいいというわけではない。「10年、20年後に今の子どもや若い人たちが『ここにはみゆきの湯という公衆浴場があってね』といった思い出を振り返ることが大切。記録だけではなく、その記憶が、まちの価値を高めていくと思うんです」と話す。
 中村さんはかつて小名浜にあった小名浜名店街協同組合「タウンモール・リスポ」が廃業する際に開催された、小名浜本町通り芸術祭に参加し、『廃れた』シャッター街に自身の写真を並べた経験を持つ。
 その当時の仲間で、市内在住のクリエーター髙木市之助さんをはじめ、4人のアーティストが趣旨に賛同して駆け付け(ほか1人が作品を寄せた)、湯本から連想する絵画を作成した。
 イベントを聞き付けた仲間や中村さんと交流のあるコスプレーヤー、幅広い年齢層の地域住民らが訪れ、思い思いに恐竜などのイラストや「またひとつふるさとの風景が心の中に。ありがとう、そしてお疲れさま」などといったメッセージを書(描)き込み、施設との別れを惜しみながら、思い出話などに花を咲かせた。
 絵はお盆のころまで現地に展示し、その後は中村さんが保管する。みゆきの湯と同様、取り壊しが決まった駅前の建物でも順次、送り絵と寄せ書きのイベントを行っていきたいといい、絵や寄せ書きは、その際に活用したい考えだ。
 (写真:みゆきの湯で行われた送り絵の制作)

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