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いわき市、東北大災害研 福祉避難所の環境対策考える 燃料電池車から給電実証

 市は25日、平上荒川の特別養護老人ホームはなまる共和国で、燃料電池車を活用した福祉避難所の環境対策にまつわる実証実験を行った。市と連携協力協定を結ぶ東北大災害科学国際研究所と主催し、トヨタ自動車の協力で、水素で走行する燃料電池車「ミライ」から施設の電力を供給するあり方を探った。
 夏季に災害が発生した際に停電が生じると、エアコンが使用不可となり、避難する人の環境に大きな影響を与える。特に高齢者や障がい者が滞在する福祉避難所は市内に73カ所あるため、実証実験を通じて問題の解消を図っていく。
 実証実験の結果、水素を満充てんしたミライ1台から、はなまる共和国の個室に設置する12台のエアコンを8時間にわたって稼働させることが可能と分かった。また避難生活に必要な炊飯器や、スマートフォンへの給電も問題なかった。
 市は2023年に燃料電池バスの冷気を、避難所の冷房として用いる実証実験も展開しており、東北大災害研の柴山明寛准教授は「いわき市はこうした水素を使った避難所運営が進んでおり、今後も底上げを図ることで災害の備えを充実させてほしい」と呼びかける。
 いわき市は東日本大震災・東京電力福島第一原発事故を踏まえ、新エネルギーの観点から水素社会の実現に力を入れており、2019年に県内初の商用定置式水素ステーションが開所したほか、地元企業が中心となってミライの導入を積極的に進めた。100台超が登録されているという。
 こうした点から、市では実証実験の成果を基に、災害時に市内企業からミライを借り受けられる仕組みの構築を検討していく。
 (写真:燃料電池車からの給電について説明する柴山准教授)

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