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いわきFC 障がいを持つサポーター向け窓口「DLT」設置 Jクラブでは初
サッカー・J2いわきFCは障がいを持つファン、サポーターから意見や要望を受ける相談窓口として、「DLT(Disability Liaison Team=ディスアビリティ リエゾン チーム)」を設置した。
世界最高峰のイングランドのトップリーグ「プレミアリーグ」ではすでに多くのクラブが導入し、障がいや病気のあるなしに関わらず、『すべての人にやさしい観戦環境』を提供しており、DLTの導入はJリーグ60クラブのなかで初の取り組み。
19日には観戦環境の把握や改善に向け、障がい当事者や家族、介助者、障がいの有無を問わず幅広い意見を共有するため、常磐上湯長谷町のいわきFCパークでワークショプが開催された。
DLT導入のきっかけは2023年8月、とある障がい当事者のSNSなどの投稿だった。いわきFCのホームスタジアム「ハワイアンズスタジアムいわき」メインスタンドの車椅子席前に設置されている柵とピッチがかぶり、試合が見えない環境にある。チケット販売ページにも注釈がない――。
投稿を見かけたチームを運営する「いわきスポーツクラブ」のスタッフが大倉智代表取締役に相談し、大倉社長自ら車椅子席に着座して愕然とした。
直ちにピッチサイドに車椅子を増設する試験運用に乗り出すとともに(後に継続運用)、チケットの注釈を記載。スタジアムを所有する市に、改善を要望するなどの活動を続けてきた。
一方、車椅子席の環境改善の発端となった県外在住の投稿者で、2021年に難病を患い車椅子生活を送る宇野奈穂さん(39)と、生まれつき下半身に障がいを持つ、いわきFCのサポーター鈴木浩さん(47)、妻ちはるさん(45)=平在住=の交流が生まれたことを機に、ファン、サポーター間でも『すべての人にやさしい観戦環境を』との意識が高まった。
新スタジアムの整備に向けて検討を続けているクラブ側でも「スタジアムを訪れた全員が楽しめる『インクルーシブ』な環境にしたい」(大倉社長)との思いを強くし、社内にチームを設けて先進的取り組みや宇野さん、鈴木さん夫妻らの意見を参考にDLT導入・設置への準備を進めてきた。
ワークショップでは「試合観戦の一日」をテーマに、宇野さん、鈴木さん夫妻を交え、参加者たちはハワスタの課題や新スタジアムに望むことなど、率直な思いを出し合った。
(写真:障がい当事者を交えたワークショップ)