サッカー・J2いわきFCのクラブカンファレンスは22日、平祢宜町のいわきPITで開かれた。今シーズンの振り返りと来シーズンの展望が示され、ファンクラブ会員を対象に抽選で約200人が参加した。2年目のJ2を戦ったいわきは、終盤までJ1昇格プレーオフ進出争いを繰り広げ、20チーム中9位でリーグを終えた。
経営面に関して、チームの運営会社・いわきスポーツクラブの大倉智代表取締役が登壇し、2024年の売上は13・5億円(前年比3・5億円増)と明らかにした。
シーズン通してのホーム入場者数は8万1516人で、県内プロスポーツチームとして最多。1試合平均は4290人(前年は3491人)で、前年からの伸び率はリーグ8位に。収容率はリーグ1位の84・7%だった。完売は6試合となり、9月29日の栃木SC戦で最多入場者数を更新する5056人が来場。「去年はアウェーのサポーターに助けられていたが、今年は地元からも多くお越しいただいた」と感謝した。
新スタジアムを巡っては、来年6月までにJリーグに計画を提出する中で、「(試合のない)345日の居場所として、周辺の経済効果・社会効果や未来を見据える必要がある。人口減少社会であっても、スタジアムをターニングポイントに選ばれる街になれる」と指摘する。
また東日本大震災・東京電力福島第一原発事故をきっかけとし、来季で発足10年目を迎えることから、クラブのビジョン「スポーツを通じて社会価値を創造する」の実現に向け、「自分たちはひとづくり・まちづくりをする会社であり、震災復興や地方創生の一助になりたい。試合に勝ちに行くことは分かっているが、地域貢献によって会社のブランドを創っていく」とも呼びかけた。
戦術面については田村雄三監督を交え、今季のデータからひも解いた。昨季に続き、J2で攻撃回数・被攻撃回数が最も多かったものの、チャンス構築率(昨季17位→今季14位)、被ゴール(21位→7位)の値が改善しており、いわきFCらしさを失わずにより善戦できたという。
余談として、リーグ戦でアウェー9勝に対し、ホーム6勝にとどまった点も話題に上がった。田村監督は「答えがない」と笑いつつ、選手に聞くと「アウェーにたくさんの方が来てくれたと燃える」ようで、逆にハワスタの近い距離感が敵地に赴いた相手サポーターを盛り上げてしまうと冗談めかした。
来季の具体的目標の明言は避けたが、カンファレンス終了後に報道陣の取材に応じ、「もちろんJ1昇格を目指している。ただ何人抜け、何人入るかは分からないので、そこから考えていきたい」と語った。
(写真:サポーターの質問に答える大倉社長=中央)
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