新聞に連日掲載されている〝おくやみ欄〟が気になっている。まれに若い人がお亡くなりになっているのは病気や不慮の事故によるものだろうが、寿命が延びたせいで享年の多くは85歳を超えている。もはや70代では天寿を全うしたとはいえないようだ▼わが老母が今年、その85歳になった。病気ひとつせず、140㌢そこそこの体で背負いカゴに山のように重い野菜を積んで、山道を軽々と上り下りしていた頑健な体も、今では杖なしでは歩けない▼本人が記憶している56歳の愚息からの母の日の贈り物は、小学生のときの「キュウリの種」と就職してから父と行かせた旅行だけ。いつまでも甘えるだけの末っ子は、今になって親不孝を恥じている▼年々年老い、病気がちになる母。誕生日と母の日が来るたび、「来年も無事に祝うことができるかな」と胸が痛くなる。同じような思いをしている人はほかにもいると思う。どうすれば喜んでもらえるか母の日が悩ましい。