あす、広島が70回目の「原爆の日」を迎える。平和記念公園で行われる式典には、大人たちに交じって子どもたちも世界に向けて、核兵器の廃絶を訴える▼昭和20年、広島と長崎に原爆が落とされ、多くの人の命が奪われた。そしていまもなお、原爆の後遺症に苦しむ人がいる。実は福島はこの原爆と無関係ではない。広島(8月6日)、長崎(同9日)に原爆が落とされる前月の20日、福島市渡利に原爆投下の訓練として模擬原爆が落とされた。同地の瑞龍寺には模擬原爆の破片が保管、展示されている▼福島は4年半前の原発事故によって核の恐怖にさらされている。今も事故収束の目途さえたたず大気、海洋汚染が続いている。今年も広島では市民らが、核のない世界実現を宣言するわけだが、安倍首相はどのようにこの宣言を受け止めるのだろうか▼国民の不安の声を無視してまで強行採決した集団的自衛権。どこか先の大戦に突き進んだあの時の日本に似てないか。
片隅抄