4月ごろだったろうか。自宅の軒先にツバメの巣を見つけた。家にツバメが巣をつくるのは吉兆と聞き、周囲のふんに少し顔をしかめながらも、しばらくそのままにしておいたが、やはり汚れが気になった▼とうとう8月後半に、人を頼んで取り除いてもらったが、今になりそれを少し後悔している。いわゆる自分が「人でなし」に思えてきたのだ▼というのも、二十四節気をさらに3つに分けた七十二候でいうと、ちょうど今つまり9月18~22日は「玄鳥去(つばめさる)」にあたる。春先に日本にやってきたツバメが、暖かい南の地に帰る時期を指す。「何だ、あとひと月放っておいても自然にいなくなったのか。悪いことをした」という心境なのだ▼調べてみると、春に渡ってくるツバメは前年と同じ巣に戻り、無くなっていた場合でもその近くで巣作りをするとか。もしも来春、わが家に再来してくれたなら、その時こそは、小さな命を優しく見守りたいと考えている。