平の繁華街に含まれる地に実家がある。気の向いた時、利便性がいいだけの理由で寝起きするが、もちろん生活の主体ではない。今はそれほどでもないが場所柄、夜はにぎわう▼死んだ父親がよく騒ぎ声を上げる通行人らを怒鳴っていた姿を思い出す。以前は商店を営みながら暮らす人たちが存在し、ひとつの居住区を形成していた。昭和40年代半ばまでは近くに長屋風の住居があり、家々との付き合いもあった▼地域によってはトラブルのもとになるごみ出しも、特に問題はなかった。しかし今はどうだろう。分別、搬出日のルールが守られていない。集合住宅にもその傾向が多く、こちらの住むところでも旧来の住民が不満を募らせている▼さて実家に泊まった翌日、外で一服する。通りに目をやると作業服姿の青年たちが黙々とごみを拾っている。おそらく毎朝の行いだろう、頭が下がる思いだ。ドラフト会議の話題から、彼らの所属する会社を知った。
片隅抄