秋祭りが各地区で始まっている。華といえば「わっしょい、わっしょい」のかけ声とともに地域を練り歩くお神輿渡御だろう▼先日、勿来町窪田の國魂神社に新しい神輿が奉納された。寄贈したのは窪田地区振興会。今月10日の例祭に間に合うようにと自己資金を中心に地域住民、企業から浄財を募り、約160年ぶりに新造神輿がお目見えした▼完成品ではなく、あくまで手作りにこだわった振興会。全国の工房を調べた結果、偶然にもいわき市の匠が見つかり、その技術を評価し役員会、総会を経て発注したという。完成までの期間は約10カ月。製作を手がけた匠に奉納時、話を聞いてみた▼「何と言っても納期。これだけは守らないとね」。技術的な苦心談よりも職人として納入期限は必ず守るというプライドを感じた。この「納期」を新聞製作に置き換えると、まず原稿には締め切りがあり、購読者に届ける配達時間がある。反省を込め、匠の言葉をかみ締めた。