急速な宅地化が進む泉町。震災後は「もえぎ台」の土地高騰がニュースで話題になったが、それと並んで大きな住宅街に変わった「泉玉露」と「泉ケ丘」に隣接する小さな農村に住んでいる▼そこにある中学校に通っていた45年前、泉玉露は一面に田畑が広がっていて、泉ケ丘はただの山林だったのだが、その面影はまるでない。今では一般住宅に加え、新設の学校や大小のアパート、さまざまな診療科目の医院やコンビニが次々に現れた▼それを羨むのが、われわれ市街化調整区域に住む隣の集落の住民である。見た目は熱心に米や野菜作りに勤しんでいるが、先輩たちの話を聞くと、先祖から受け継いだ土地を持て余し気味のようだ▼ゴルフブームのとき、手つかずの山林が売れる寸前までいったが、規制がかかってご破算。震災後の土地不足の非常時でも調整区域のままだ。「共立でも労災でも、広々としたうちの町に建てればいいのに…」。笑い話にならなかった。