小学5、6年生の頃だったか、世間ではオカルトブームでにぎわった。ある少年のスプーン曲げ、怪しげな外国人による念力、十円玉を使った占い遊びなど。今考えると笑いを生じるものもあった▼その中で小松左京著『日本沈没』は、映画にもなり見に行った。当時、国土が喪失するということに非現実感を覚えたが、先の東日本大震災に遭遇してからは自然界では、何が起きても不思議ではないことを痛感した▼さらに同時期、一冊の本が社会を震撼させた。五島勉著『ノストラダムスの大予言』。未読だが空から「恐怖の大王」が襲来、人類を滅亡に追い込むなどとという、これもまた空想的な話だった。しかしながら、ここ数年は笑ってばかりもいられない状況が続いている▼まず北朝鮮のミサイル発射は差し迫った危機である。わが国の主権を無視、本土上空を破壊兵器が通過させるなど、蛮行を繰り返している。さらには核実験の強行。やはり大王はいた。
片隅抄