磐城平城本丸跡から一望した平市街地のパノラマは格別だった▼この地がまだ鉄格子で閉鎖されていなかった25年ほど前に同じ場所から景色を眺めたことがあるが、4半世紀を経て、ホテルなどの高いビルが立ち並ぶ今とは隔世の感がある。ここから江戸時代の殿様たちが見た城下町はどんなだったろう。NHKの「ブラタモリ」ならCGでタイムスリップしてくれるのだろうが……▼1日の一般開放に合わせて、主催者がJRいわき駅北口から本丸跡にかけてのコース沿いに案内看板を設置した。三階櫓、八棟櫓、旧仮藩庁、白蛇堀、松林桂月が城跡を詠んだ漢詩碑などがイラストや解説文入りで紹介されていたし、江戸時代の城内と城下町の地図に現在の町の分布を重ねた絵地図は対比がわかりやすくてよかった▼ただ、市内で眠っている歴代藩主ゆかりの〝お宝〟が展示していないのはさみしい。個人製作のお城の大型復元模型が来場者の目をとらえているのが幸いだ。