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片隅抄

2019.07.20

昭和62年夏――。古い新聞をめくっていたら、まだ若いころ、自分でテーマを見つけて連載を担当した懐かしい紙面を見つけた▼付けたタイトルは「もうひとつのヤマ 八茎鉱山1987・夏」。〝ヤマ〟といっても常磐や好間の炭鉱ではない。四倉町北方の山あいで今から約600年前に銅の採掘が始まった八茎銅山(鉱山)のことである▼いわき地方に大きな恵みをもたらした石炭産業の陰で、その歴史をはるかに超える昔から銅の採掘が行われ、今は人けのない山にかつて町が形成され、分校や商店街、映画館まであったというのだから驚いた。連載では埋もれていたその歴史を掘り起こしてみたのである▼専門家の調査も入り、銅山跡には貴重な産業遺産が数多く残っていることが分かった。その後、当時の写真などの資料や小型電車、動力用水車、削岩機はどうなったのだろう。地元四倉町の有志によって保存する動きがあったように思うが、散逸してはいまいか?

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