地方に行けば行くほど不況風は強まり、リストラや職に就けない若者が増え、社会不安は広がるばかり。出口の見えない不況に世をはかなんで自らの命を絶つ人が少なくないと聞く▼全国で昨年1年間に自殺した人は3万2753人で、年間の自殺者が3万人を超えるのは12年連続であることが、検察庁の調べで分かった。月別でみると年度末の決算期前後にあたる3~5月に集中していることから、この不況が大きな原因とも考えられている▼「こんなに景気が悪いんでは、自殺だって考える」と、悲痛な叫び声を上げるのは、市内で小さな建設業を営む知人の経営者▼鳩山首相は平成22年度の予算は「命を守る予算」と言っているが、その割には予算委員会での審議は、政治と金にまつわる話が主。もちろんその問題も大切だが、景気対策を棚上げにしてまでする話か。それは別な場でだろう。こんなことをしていれば、13年連続自殺者3万人も現実味を帯びてくる。
片隅抄