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片隅抄

2021.1.1

「去年今年貫く棒の如きもの」(高浜虚子)。俳句をたしなむわけではないが、昭和の終わりから平成にかけて自粛ムードが漂った当時、作家山口瞳さんが週刊誌連載コラム「男性自身」の中で、世相を何かに例え使っていた▼後年、単行本化された同名書籍で繰り返し読み、記憶にあった。昨年初頭、世界中に飛び火した新型コロナウイルス。終息どころか、国内での感染者数は都市圏に限らず、地方でも増加の一途をたどるばかり▼昨年4月、政府による全国を対象にした「緊急事態宣言」が出され、一定の効果が表れたものの元に戻った感もする。この状況下、人命優先はいうまでもない。一方、生き残るため我慢に我慢を重ねている業界もある▼今年、本紙は創刊75年を迎える。終戦の翌年、今では想像もできない荒廃、混沌とした時代に産声を上げた。この元日号では各界の方から提言などをいただいている。信念の如き棒を持ち、責務を担うこととする。

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