「ボランティア」。広辞苑によると、「志願者。奉仕者。自ら進んで社会事業などに無償で参加する人」とある。特に、阪神・淡路大震災を契機に、ボランティアの重要性が増してきていた▼これまでも、ボランティアの方々とはさまざまな場面で、取材を行い、重要性や大変さは知っていたつもりだった。今回、東北地方太平洋沖地震に伴う東日本大震災でもあらためてボランティアの大切さを実感した▼地震発生2日後の13日、津波被害を受けたある地区を訪れた。その地区では津波で家が壊され車が流されるなど、甚大な被害に見舞われていた。現場では道路が通れるよう、消防団員らが車や瓦礫《がれき》を片付けていた。団員の方たち自らも被災者のはずなのに、黙々と作業を行っていた。その姿に何とも言えない気持ちになった▼今まで記事を書く際、安易に〝ボランティア〟という言葉を使っていたような気がする。これからは言葉の持つ意味を考えながら使わなければ。
片隅抄