東日本大震災、それに伴う原発事故から10年が経過した今、その間溜まった放射能汚染水の海洋放出が決まった。地元漁業関係者らの反対がある中、2年後を目処に放出されるという▼国の基準の40分の1に希釈しての放出で害はないとするものの、やっと「常磐もの」の魚が出回りつつある中、漁業関係者に与える影響は想像以上だ▼国と東電は風評被害対策に全力を尽くすと言っているが、漁業に関しては実被害であって風評被害ではない。政府が考えている以上に風評被害というのは根深いものがある。農作物から県内の工業製品、福島と名の付くもの全てに関わってくると言っても決して過言ではなく、それらをどうやって補償するというのだろうか▼大阪府知事は、汚染水は国全体の責任だとして大阪湾に放出してもいいという見解を示している。東電供給地域の首長さん達はどう感じているのだろうか。それよりも地元選出の国会議員の声がいまだにないのが悲しい。