コロナ禍ということもあり、1年間、車庫に眠らせていたバイクを先月整備し、新たに車検を通した。そして連休の天気の良い日を選んでツーリングに出かけた▼久々のことなので遠出は避けた。昨年、帰宅困難地域内の6号国道の2輪車の乗り入れ規制が解除されたのを知っていたので、北に向かうことにした。爽やかな初夏を思わせる風を感じながら天神岬を目指した▼ここまでは普段と変わらぬ風景だった。富岡を過ぎ、夜の森あたりから一変する。沿道に立つ店舗のガラスは割れたまま、真新しい家にも生活の匂いがない。バリケードで覆われ至る所に警備員の姿が。動いているのは道路だけ。ゴーストタウンというよりはそこだけ時が止まっているような異様な光景が広がっていた▼溜まり続ける汚染水の海洋放出が問題になっているが、肝心の溶け落ちた核燃料の処理の問題は永遠に続く。そこまで福島に押し付けるのだろうか。金で解決しようとする政治に腹が立つ。
片隅抄