競泳五輪代表の池江璃花子選手に届いた、辞退を求める心無い声。匿名のSNSを通じた卑劣ともいえる誹謗中傷、若干ハタチの若者に「苦しいです。」と言わしめた一連の出来事に強い憤りを感じる▼新型コロナの感染拡大はとどまることを知らず、変異株におびえ、医療現場がひっ迫する中での五輪開催は〝それどころではない〟との声は当然。震災、原発事故を経験した我々にとっては「復興五輪」と勝手に掲げ、被災地の現状を顧みず開催に向けて突っ走ってきた政府への不信感もある。かく言う抄子も反対だ▼今では復興の二文字すら出てこない。現内閣はコロナ禍で五輪を開催することに意義がある、との主張を繰り替えすばかり。開催の判断についても、責任をIOCと擦り付け合う▼ただ、政治的な発言を選手に求めるのは明らかな間違いだ。五輪開催の有無を決めるのはIOCや政府、東京都、組織委員会。意見があるなら、正々堂々と声を上げてほしい。