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片隅抄

2021.05.18

自身8年目を迎えた田植え。例年夜明けすぐに作業を始めるが、仲間の多くが70、80の先輩諸兄。〝さすがに体にこたえる〟と、2時間ほど遅らせたのが災いした▼抄子が取り組むのは、稲の種もみを挟んだ綿のシートを敷いていく「お布団農法」。田植えというより、〝田敷き〟といった表現がしっくりとくる。1ロール100㍍のシートをかぶせていくため、風でめくれるのを防がないといけない▼始めたばかりのころ「何でこんな朝が早いのか」とこぼすと、「『風と坊主は10時から』という格言を知らないか」とたしなめられた。その通り同時を過ぎると海からの風が田を駆け抜け、とても驚いた▼案の定、今年は風に苦戦した。シートを敷く傍から布地を棒で抑え、飛ばないように水をまく。それでも風は抑えきれない。「こんなに苦労するんだ。若い人が農業をやりたがらないはずだ」。だからこそ収穫の喜びがあるのだが、齢を重ねるとどうも愚痴が先に出る。

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