無人・機械化となった旧小名浜測候所の生物季節観測を続けている、小名浜まちづくり市民会議といわき観光まちづくりビューローが9日、同測候所標本木のソメイヨシノが開花したと発表した▼3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震。いわきでも、沿岸部を中心に大津波が押し寄せ、甚大な被害をもたらした。同測候所にある標本木も津波の被害を受けたが、可憐な花を咲かせた。自然の恐ろしさと力強さを同時に見せつけられた気がした▼開花宣言から10日。ここ数日の気温の高さに、平中央公園の桜は散り始めている。先週末、市役所から見える新川堤防沿いの桜は美しかった。今年は、11、12の両日に発生した余震の対応に追われ、花見まで考えが回らなかった▼先日取材した南双葉広域復興センター開所式。あいさつの中で「来年は、みんなで夜の森の桜が見られるよう、復興に向けて頑張ろう」と。桜には、人を元気にさせる不思議な力があるのかもしれない。
片隅抄