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片隅抄

2022.05.18

大相撲夏場所はきょう18日が11日目、優勝争いは大詰めに入った▼とはいえ土俵はさっぱり盛り上がらない。3人の大関は優勝どころか勝ち越しのメドさえ立っていない。傷む両ヒザに鞭打って強行出場している一人横綱照ノ富士と6人の平幕力士が2、3敗でしのぎを削っている状態だ▼体重が重けりゃ有利とばかりに競って巨体をまとった代償に、下半身の故障や内臓疾患を抱えるありさま。互いに呼吸を合わそうとせず小賢しい駆け引きありありの立ち合いも目に付く。期待の若隆景も不振で北の富士さんの口からはもはや辛口の解説すら出てこない▼胸がすく名勝負が待望久しい令和の土俵だが、同じ夏場所――昭和50年5月18日、麒麟児と富士桜の伝説ともいえる猛烈な突っ張りあいの一番が繰り広げられた。昭和天皇は貴賓席から身を乗り出され、皇后さまは相好を崩して後ろの春日野理事長に話しかけられた。貴ノ花初優勝があった年の小兵同士の熱戦だった。

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