この夏の甲子園で躍動した聖光学院ナインの快進撃はきょう20日の準決勝で途絶えた▼宮城の仙台育英に4―18。点差は開いたが、出場17回にして初めてベスト8の壁を破り、本県勢として最多の一大会4勝を挙げた快挙に心から拍手を贈りたい▼♪桃李一時に咲き競う春たけなわな信達野…今は聖光学院の校歌が流れると知らずに口ずさんでいる。信達(信夫・伊達)地方は福島盆地北部で、第1校舎がある伊達市は仙台藩伊達家発祥の地、第2校舎がある桑折町は皇室への〝献上桃の郷〟として知られる▼私学を中心とした県外からの野球留学生に対して、「地元の生徒がいないチーム」と揶揄する向きもあるが、スポーツ留学は今や野球部に限らない潮流になっている。強い意志を持って15歳で親元を離れ、厳しい環境のなか〝第二の故郷〟で精進する若者たちが、福島県のレベルを上げてくれる。ユニホームの左袖に刺繍された「伊達市」の三文字が誇らしげだった。
片隅抄