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片隅抄

2022.12.15

いわき芸術文化交流館「アリオス」がオープンして、来年で15年を迎えるが、中高と吹奏楽に青春を費やした一人として、旧平市民会館の思い出は語り尽くせない。特に印象に残っているのは、棟方志功の原画による緞帳だ▼いわきアリオスの開館で、緞帳は両端を裁断した上で、常磐市民会館に移されたが、その常磐市民会館も閉館する方針が決まった。市が条例改正案を発表してから、緞帳の動向が気になっていたが、市議会12月定例会で、他の施設での利活用は極めて難しいとの見解が示された▼この緞帳には、小川町出身の蛙の詩人・草野心平と志功の縁で制作された歴史がある。平市民会館が閉館する際には、保存を求める市民の声を踏まえて移設した経緯もある▼建物が公民館や図書館とつながっており、すぐに取り壊しはないとはいえ、緞帳の行方は宙に浮いたまま。緞帳が持ついわき地方の産業発展を願う思いを、後世にしっかり伝えるべきだろう。

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