ここ数日の厳しい寒気に閉口している。加えて増加傾向にある新型コロナウイルスの陽性者。年末年始にかけ人流が活発化することも予想され、まだまだ油断は禁物である▼そんな中でも心の余裕は必要。きちっと仕事をこなし、その分を自身の愉しみに振り分ける。昭和世代のこちらは、こたつでの一献とテレビが定番。先日も録りだめておいたNHK「忠臣蔵狂詩曲中村仲蔵出世階段」全5話を一挙に見た▼落語の演目でも知られ、江戸時代に実在した歌舞伎役者が大看板になるまでを、本物の役者中村勘九郎さんが演じた。仲間の嫉妬、いじめにも負けず舞台への情熱を忘れなかった彼に訪れた最大のチャンスは「仮名手本忠臣蔵」▼弁当幕と称される山場のない場面で、討ち入りを拒んだ家老の息子斧定九郎役を創意と工夫で一世一代の演技を披露する。歌舞伎には疎いが、人それぞれ厭なこと泣きたくなることに直面する。その道が好きなら、迷わず進んでみることだ。