久しぶりにサッカーJ2・いわきFCの取材を続けている。立ち上げ当時からJFL昇格まで担当したので、クラブに対する思い入れも強い。二桁得点を取って、誰で話題を作ろうかと、県紙の記者と苦笑した日が懐かしい▼J2でここまで1分け2敗。サポーターもイラついたのだろう。山口戦の後半、ゴール裏から、聞くに堪えない言葉が何度も飛んできた。隣のカメラマンと思わず「ガラ悪いですね」とささやき合った▼試合後、村主博正監督は「しっかりとトレーニングを積めば勝ち点3(=勝利)は取れる」と強調した。大倉智社長も同じように総括する。一人の市民としてやきもきするが、彼らの言葉を信じたい▼忘れてはいけないのは、いわきFCはあの災禍から立ち上がる中で誕生した。いまや双葉郡まで広がり、「浜を照らす光」に成長した。今年も3・11がやってくる。その次の日、互いに被災地を背負うクラブが熱い戦いをするに違いない。その先に勝利を。
片隅抄