1903(明治36)年5月12日、後に〝蛙の詩人〟として広く親しまれ、文化勲章を受章した詩人草野心平は、5人きょうだいの二男として石城郡上小川村(現・小川町上小川)に生を受け、今年で生誕120周年を迎える。
独創的なオノマトペ(擬音語)を用いた天衣無縫な言葉使いの作品で知られ、1988(昭和63)年11月12日に亡くなるまで、1400余篇の詩を残した。
小川町の市立草野心平記念文学館では節目を記念し、4月15日から心平が「相当数書いた」と自覚している〝海〟を主題とした企画展「草野心平の詩 海は己の海鳴りをきき。」を開催する。6月25日まで。いわき民報社など後援。
波はよせ。
波はかへし。
波は古びた石垣をなめ。
「窓」より
心平の詩題といえば〝蛙〟が真っ先に上がるが、〝海〟があることはあまり知られていない。
記念展では、破調的な重量のあるリズムをつくった「日本海」、幻想的に書いた「Bering-Fantasy」、日本語の文字の形象を意識した「磐城七浜」などのほか、1940(昭和15)年刊行の詩集「絶景」に所収され、間断ない波の動作を、動詞を完結させずに表そうとした「窓」の直筆草稿を展示する。
窓の直筆草稿は初展示で、大森海岸(東京・品川)の友人の家の窓から小半日、入り江を眺めていたときの感懐を書いたものといわれる。
1977(昭和52年)、心平74歳のときに描いたパステル画「波陽」=詳細はいわき民報元日号・心平記念特集参照=も初展示する。出品点数は約70点を予定する。
また磐城七浜にちなみ、「若い人たちに、いわきの海産物をもっと食べてもらいたい」という思いから始まった「いわき七浜イケメンプロジェクト」とコラボし、七浜を擬人化したキャラクターパネルを展示する。
開館時間は午前9時~午後5時。休館日は月曜。詳しくは<こちら>