平成18年に公開され観客動員数約130万人と各賞を総なめにした映画『フラガール』。炭鉱閉山という難局を観光事業に転換、見事に再生を果たした物語である▼ストーリーについては、ご存じの通り。詳細は省くがいわきのPRに貢献したことは、いうまでもない。エネルギー革命は常磐炭礦のみならず、各地に波及した。劇中では、まだ採掘が続いていた夕張炭鉱に職を求める一家の姿があった▼その夕張市の炭鉱住宅跡地は、高倉健さん主演『幸福の黄色いハンカチ』のロケ現場として知られている。その縁からか、文化による街おこし第33回「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」(29日~7月2日)が同市で開かれている▼その舞台で本市出身の高羽努監督『うみのこえ』がきょう上映された。いわき、夕張両市の歩みは困難も含め共通点は多い。その一方の地で、大震災の事実を映像で語りかける。鑑賞した身として、思いが伝わらないはずはない。