生誕120年を迎えた〝蛙の詩人〟草野心平のふるさとを巡るバスツアーがこの春開かれ、好評を得た。記念文学館を皮切りに生家や川内村の天山文庫に立ち寄り、かわうちの湯で心身を癒す。抄子のような心平初心者にはもってこいの小旅行だ▼過日、村のカフェ「秋風舎」に足を運んだ。自然豊かな清流沿いにたたずむ、三和から移築した築200年の古民家には温もりのある木製の椅子や机、郷愁漂う家具が並ぶ。ゆっくりと時が流れる空間での食事は格別だった▼部屋の一角には、天山文庫の管理人を務めていた若き女性オーナーが厳選した心平の蔵書と資料が。その充実ぶりには驚いた。「少しでも魅力を伝えられたら」▼勿来関文学歴史館では2日から企画展が始まった。ゆかりの詩歌碑で人物像に迫る、実に〝らしい〟内容だ。11月にはJRの記念ツアーも行われる。心残りもあったが、節目にふさわしい出来事が続き、あらためて心平の偉大さを感じている。