免許を取り立てのころ、「軽自動車は走る棺桶だから運転に気を付けろ」と声を掛けられた。四半世紀以上前のことだ▼当時に比べれば軽の安全性は飛躍的に向上した。全方位エアバッグに衝突回避支援ブレーキ、安全装備を挙げればキリがない。衝突安全性は普通車とそう変わらない。数字が物語る。走る棺桶話は「今は昔」だと信じ切っていた▼ダイハツの不正問題は、日本車の品質神話を揺るがすほどの衝撃だった。VWの排ガス不正と比べるまでもない。第三者委員会は発覚した174の不正について、安全・環境性能は法基準を満たしていると明らかにしたが、専門家は口を揃え、氷山の一角だと指摘する。悪質行為は34年前から常態化していたというではないか▼派閥裏金問題しかり、組織に染みついた古い体質はそう簡単に変わらない。安全だ、問題ないと諭されても信じがたい。頭なんて、簡単に下げられる。この際、誤魔化さないで膿を出し切ってほしい。