ユネスコが定める世界遺産であり特別史跡に指定されている「姫路城」の周囲には、143haのバッファゾーンという緩衝地帯が設けられている▼その内側、城に近い周辺は107haのコアゾーン(核心地域)と呼ばれ、これらの地域では城を姫路市のシンボルとする美しい景観、城と歴史・文化・自然が調和した景観、市民と行政の参画と協働による景観、観光や商業など経済の活性化につながる景観の形成と保護の取り組みが行われている▼日本が世界に誇る名城。その姫路城を誇りに思い、後世に伝えようという市民の心意気がわかる▼ひるがえってわが磐城平城。濠や武家屋敷があったコアゾーンは埋め立てられ、その後は住宅密集地となり、常磐線と磐越東線が敷設された。バッファゾーンの地域はビルが建ち並ぶ平凡な市街地となった。戦後(太平洋戦争でなく戊辰戦争)以降の先人たちは城下町というまちの景観をどう考えてきたのか。検証してみるのもいい。