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平五小の郷土誌原本見つかる 火災で焼失の声から一転 明治期ひも解く手掛かりに

 1911(明治44)年、明治政府の地方行政などをつかさどった内務省の指示を受け、全国で大規模な郡誌、郡郷土誌の編さんが行われた。同年6月の福島県訓令に基づき、県内の各小学校でも学区内の郷土誌を記録することが義務付けられ、いわき市でも各校単位で原本が残されている。
 いわき総合図書館では、明治期の社会や経済の現状がうかがえる貴重な史料を後世に残していくために、複製・製本化を進めてきたが、数校の原本が見当たらず、長く補完に至らない状況にあった。
 このうちの1校が平五小。同校は1975(昭和50)年に10教室が焼失する火災に見舞われており、その際に焼失したかとも考えられていたが、一昨年の創立100周年を機に、校内に焦げ跡が残る原本が保管されていたことが分かった。
 郷土誌は基本、沿革かから始まり、気象、生物、兵事、風俗習慣、経済など18章で構成。その地域ごとの歴史や地理、自然、人口、教育、農水産業、商工業、交通、名勝旧跡などの詳細が記述されており、当時の郷土文化などを知る上で貴重な史料とされている。
 教職員や卒業生らが長年探し求めていたもので、一向に見つからないことから、大規模な校舎火災で焼失したと考えられていた。同校は旧飯野村の飯野第一、第二小、飯野小を前身に併合後〝マンモス校〟となったため、現存する資料が膨大だったことも発見を遅らせた要因となったという。
 いわき総合図書館に原本を渡し、後世に残すため製本化に向けて動き出した。今月に入り、ようやくデジタル化。同館では今後製本し、他校と同様、館内での閲覧と貸し出しに利用する予定だ。
 平五小の郷土誌は「夏ノ夜多ク水辺二明滅ス」とホタルが飛び交う自然に恵まれていたこと、「八ツ坂ト称スルハ池ノ中ノ八ツノ小孔アリシヨリ名ツケラレタリトイフ」と、学校近くの地名〝八ツ坂〟の由来についての記述があるなど、地域住民の心を打つ内容がある。
 (写真:平五小周辺の貴重な情報が記載されている郷土誌)

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