サッカー・J2いわきFCは5日、リーグ戦の延期に合わせ、地域訪問活動に取り組んだ。選手・スタッフが二手に分かれ、常磐藤原町の介護老人保健施設「サンライフゆもと」と、双葉郡大熊町のReFruits(リフルーツ)のキウイ畑を訪れ、それぞれ関係者と交流した。いずれもV・ファーレン長崎戦が9日から26日に変更されたことを受け、田村雄三監督の発案で、クラブが街に飛び出そうと企画した。
<介護老人保健施設「サンライフゆもと」>
訪問先のうち、サンライフゆもとは、選手・スタッフが「認知症サポーター」に就くため、認知症の症状や行動心理、患者との接し方などを学んだ際に協力した。Jリーグはこの試みを評価し、いわきFCに社会連携活動を表彰する「Jリーグシャレン!アウォーズ」のパブリック賞を贈っている。
今回は認知症サポーターを含む選手12人が施設に赴き、約30人の利用者と一緒に体を動かした後、トップパートナーのロート製薬(大阪市)と連携し、香りを楽しむワークショップを行った。
ワークショップでは、フラシティいわきの香り「Lino Lina(リノ・リナ)」、キンモクセイ、ベルガモット、シトラスの4種類の香りが用意され、互いに歓談に興じながらお気に入りを見つけていった。
またペーパーフラワー作りにも挑戦し、和やかな時間を過ごした。FW近藤慶一選手は「こうした触れ合いの機会はうれしく、お花を作るのがお上手でびっくりした」と笑顔で語った。
利用者を代表し、鈴木ハルノさん(87)があいさつに立ち、「とても楽しい時間を過ごさせてもらいました。皆さん本当にありがとうございます。サイコー」と声高らかに述べた。
いわきFCが市内の高齢者施設を慰問するのは初めて。今後もいくつになっても住み慣れた街で暮らせ、スタジアムにも足を運べるよう、さまざまな啓発を進めていくとしている。
<ReFruits>
リフルーツでは、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故前まで大熊町の特産品だったキウイ栽培の復活に、県外から移住した若者が挑戦している。原発事故からの営農再開を目指すホームタウンの力になろうと、〝浜を照らす光〟として選手17人が訪問した。
選手たちは原口拓也代表取締役社長の指示で、ヘイワードや東京ゴールド、紅妃の3つの品種の苗木を畑に運び出し、スコップを使って丁寧に植えるなどし、得意のフィジカルで文字通り農作業に汗を流した。
チームキャプテンのGK田中謙吾選手は「皆さんと共に、復興していきたいと考えている。今回の作業のように、チーム一丸となって立ち向かっていきたい」と力強く意気込んだ。
原口社長は「いわきFCでもキウイを食事に取り入れていると聞いているので、収穫できるようになったら、ぜひ食べていただきたい」と感謝を伝えた。
(写真1枚目:施設利用者と交流する近藤選手 2枚目:苗植えを行う田中選手ら)