ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」は7月31日、北海道・羅臼沖で捕獲した直径30cmを超える巨大ヒトデについて、日本では初めて確認され、ダイオウモミジヒトデと和名の新称が付けられたと発表した。
この種は米国西海岸からベーリング海での報告例しかないため、いままで和名がなかった。この成果を含め、同館を交えた共同研究グループはヒトデに関する論文をまとめ、同日付で国際科学誌に公表された。
論文の著者はアクアマリンふくしまに加え、東京大大学院理学系研究科附属臨海実験所、神奈川・新江ノ島水族館、山口県水産研究センターで構成。アクアマリンふくしまからは、主任技師・日比野麻衣さん(38)が参加した。
日本初のダイオウモミジヒトデは2022(令和4)年、日比野さんが羅臼沖の水深570~750mで、エビかご漁に同行して採集した。海外での事例ではもっと浅い海のため、羅臼沖の深海が生き物の宝庫であることがうかがえるという。
また砂浜で見かけるイトマキヒトデは、手のひら程度の大きさだが、ダイオウモミジヒトデは大型で、体を縁取るブロック状の骨の間隔が広いことが特徴となっている。
同館では「大型種がこれまで日本で見過ごされてきた事実は、海洋生物の多様性理解がいかに未熟であるかを示す好例」と指摘する。
日本には約250種のヒトデが生息する中で、新種や日本初記録種が続々と見つかっており、今回の論文を通じて、モミジヒトデ科は6種に。今後もさらなる種の発見が期待されている。
日比野さんは調査・研究によって、ダイオウモミジヒトデの生態解明に挑む。「バックヤードで飼育に挑戦しているが、なかなか難しい。しかしいつかは展示につなげたい」と述べ、これからも深海にすむ生き物の姿をひも解く決意を示した。
(写真:ダイオウモミジヒトデ=アクアマリンふくしま提供)
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