8月15日の「終戦の日」が過ぎると、潮が引くように戦争と言う言葉が周りから消えていく▼例年、終戦の日の前後テレビや新聞は、満州事変から日中戦争、大東亜戦争、そして太平洋戦争に至る経緯を特番や特集記事として連日報道する。いわきでも「いわき平和のつどい 講演と平和資料展」が8月10、11の両日、市文化センターで開かれた▼会場には広島に投下された原子爆弾の実物大模型をはじめ、原爆写真、高校生が描いた原爆の絵、戦争遺品、実物資料などが展示されていた。中でも原爆投下直後の広島の町は、まさに地獄絵であった。あらためて戦争の悲惨さに反戦、恒久平和を祈らずにはいられない▼終戦から79年。ほとんどの日本人が戦後生まれとなった今、戦争の惨禍は記録、資料でしか知りえない。戦争を繰り返さないためにも、私たちは過去の過ちから学ばなければならない。戦争を知りえる時間が終戦の日前後とはあまりにも少な過ぎるのでは。
片隅抄