みんな、なに食べてどう生きてるんだろ?――。日本のノンフィクション文学に大きな足跡を残した作家、開高健を記念した「開高健ノンフィクション賞」の受賞作家で、いわき市とも縁が深い川内有緒さんと、映画監督の三好大輔さんは現在、浜通りを舞台、特に東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を受けた国道6号(通称ロッコク)エリアに暮らす人々のキッチンなどから暮らしをひも解く、ドキュメンタリー映画「ロッコク・キッチン」を制作するプロジェクトを進めている。経産省の令和6年度地域経済政策推進事業。
川内さんは昨年11月から今年2月まで、ロッコク沿いの地域に住む人々の「食」と「キッチン」「レシピ」を切り口に暮らしをひも解くため、旅をしながら取材と撮影を敢行。今年5月には、ロッコク沿いに暮らす住民から寄せられたエッセイと、川内さん書き下ろしのエッセイを収録した著書「ロッコク・キッチン」を500冊限定で制作・販売したところ、わずか1カ月で完売した。
映画は来年中の完成を目指しており、人々から寄せられたホームムービーなどを再編しながら、震災前の人々の暮らしをよみがえらせたい考えで、川内、三好さんらは現在、震災前に対象地域で撮影されたホームムービーを募集している。
映像は「食」のシーンが写っており、2011(平成23)年3月11日前に富岡、大熊、双葉、浪江各町、南相馬市で撮影されたのもの。普段の食卓やもちつき、漁港の水揚げ、田植え、潮干狩り、お祭りや親せきの集まりなど内容は問わないという。映像データ、フィルムなど保存形式も幅広く対応可能。
12月14日午前11時から午後5時まで、道の駅なみえで映像の受付と展示イベントを開催する予定で、直接映像を持ち込むこともできる。当日は川内、三好さんも参加する予定。「いわきにお住まいで、相双地区出身の方々のご連絡をお待ちしています」と、事務局の渡辺陽一さんと、宮本英実さん。
(写真:ホームムービー募集を呼び掛ける事務局の渡辺、宮本さん=左から)
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