小名浜鎮守諏訪神社(小名浜諏訪町、小名川祐輝宮司)恒例のダルマ市が9日、神社境内で開かれた。
達磨大師の緋衣(ひえ)を連想させる深い赤、いわきの海を表現した顔の周りの群青色の縁取り、おなかに書かれた「福」の文字が特徴の伝統工芸品「いわきダルマ」を買い求める市民でにぎわいをみせた。
販売されたダルマは、大正時代に創業した高橋工房(平字正月町)が持ち寄った。これまではいわき絵のぼりの制作・販売が落ち着いた5月下旬から6月上旬にかけて準備を始めるが、3代目の高橋謙一郎さんが病に倒れ、昨年5月に77歳で急逝。
悲しみが残るなか、妻の淳子さん(73)と、謙一郎さんとともに市無形文化財のいわき絵のぼりの製作技術を継いでいる、4代目の聡一郎さん(45)が先代の遺志を継ぎ、6月の半ば過ぎから急いで準備を進めてきた。
1600個ほどを仕上げ、元朝から販売しているが、新型コロナウイルス感染症により売り場を縮小するなどした影響が色濃く、いまも客足が遠のいたままという。
ただ今年は客足が戻りつつあり、小名浜では例年、漁業関係者や事業所の経営者を中心に大きいサイズを求める傾向にあることから、9日も54cmの大型が売れるなど、調子は上向きに。また店頭には真っ白な「合格ダルマ」も並び、受験を間近に控えた家族のために買い求める姿がみられた。
(写真:小名浜諏訪神社で行われたダルマ市)
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