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吉野せいの企画展 12月21日まで 小川・草野心平記念文学館で

 1975(昭和50)年4月、76歳で第6回大宅壮一ノンフィクション賞と第15回田村俊子賞を受賞した石城郡小名浜町(現小名浜)出身の作家、吉野せい=1899~1977、享年78=にスポットを当てた企画展が12月21日まで、市立草野心平記念文学館で開かれている。
 せいは若かりしころに短歌や短編を発表するなど文学に傾倒していたが、小学校教員を経て詩人の三野混沌=本名・吉野義也=と結婚後は、好間の菊竹山で開墾生活を送った。
 再び筆を執ったのは夫の逝去後、70代から。混沌の友人、草野心平に強く勧められたのがきっかけで、いわき民報では70年11月から2年間、「菊竹山記」を断続的に連載した。
 今展では、心平が執筆を勧めたエピソードを収録した「信といえるなら」と、2つの賞受賞後の『息つくいとまもない日々』について記した「あとがき」=「道」(彌生書房)所収=の直筆原稿に加え、「洟をたらした神」(彌生書房)の直筆書色紙、実際に使用していた万年筆といった遺愛品、作家時代の写真パネルなどを展示した。
 来館者たちは『百姓バッパ』として名をはせたせいの人となりを想像しながら、じっと資料に目を通していた。
 (写真:会場に展示されている直筆原稿など)

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