『思考の整理学』等で知られる外山滋比古氏の著書に『第四人称』がある。言葉などの表現文化の受け手論だが、第四人称とは、いわば一般の読者等を指す▼氏によれば、この第四人称が、言葉文化において大きな位置を占めている。アウトサイダーとして「のぞき見」「立ち聞き」する位置にあり、受容したものを客観的に解釈・判断できるという▼著作の中で新聞に関しては、文字による第四人称文化を代表する存在としている。テレビに比べ速報性は劣るが、読者(=第四人称)の知的興味にこたえられるのが新聞だ、と。この項を読み、記事に求められているのが正確さにとどまらぬことを、あらためて肝に銘じた次第だ▼そして今、新聞週間。震災後の今年の代表標語は「上を向く 力をくれた 記事がある」。新聞人として励みになる一言だが、さらにこれを糧に「考える機会になった記事がある」と、評価していただける紙面作りにまい進することを、誓いたい。