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片隅抄

2011.10.24

 「秋の日はつるべ落とし」とはよく言ったもので、気がつけば日没は午後4時台に、そして今日は二十四節気の「霜降」。秋が深まってきた▼「日本人で良かった」と思える風景の1つに、この時期の山々を彩る紅葉がある。それを「錦秋」と表現する日本の言葉文化にも、美しさと心の豊かさをしみじみと感じる▼そして文化の秋といえば今、市内各地でも市民文化祭関連行事が繰り広げられている。本紙でも報道されたが、先週開かれた川柳大会では、震災後の情景を詠んだ「被災地の明かりが少しずつ灯(とも)る」(松本幸夫さんの作品)が最優秀賞を受賞したとあり、何とも感慨深かった▼文化は人々の日常生活の中から生まれるものではあるが、やはり震災を題材にした作品に出合うと、いまだやりきれなさを禁じえず、切ない思いになる。が、その一方で表現できる術のあることに救いも感じ、このように形にして残す大切さをも痛感している秋の夜長である。

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