昨年の3月11日、東日本を襲った大地震と津波によって岩手、宮城、福島の3県では沿岸部を中心に壊滅的な被害を受けた▼1年後の同日、各地で追悼式が行われ、震災で亡くなった人へ鎮魂の祈りを捧げた。いわき市内でもさまざまな追悼行事が開かれ、市民は一日喪に服したことだろう▼震災1年の陰にかくれ、あまり報道されなかったのが東京大空襲。昭和20(1945)年3月10日夜半、米のB29爆撃機の大編隊が東京上空に襲来、約2時間半の無差別爆撃で11万人余の民間人の命が奪われた。その後、2度の原爆投下と続き、同年8月15日終戦を迎える▼終戦記念日と原爆の日は毎年の式典とともに日本人の記憶から消えることはないが、戦時中の他の悲劇はどうかすると忘れがちだ。戦争の悲惨さと平和の願いを語り継ぐには、過去を振り返る機会は何度あってもいい。東日本大震災の記憶も風化させてはならない。戦没者、そして震災犠牲者の冥福を祈りたい。