今年2月から『草野心平日記』(思潮社)を読み進めている。今のところ全7巻のうち『4巻1976―78』まで。1冊のページ数が多く集中して読めないため、図書館の貸し出し期限が延長になることもある▼詩については全くの門外漢。興味はもっぱら詩人の私生活に向けられる。飼育する小動物のこと、文壇、詩壇との交流、天山文庫逗留の日々などが子細に綴られている貴重な読み物だ。特に驚かされるのが、酒量の多さ▼1、2巻に目立つ「宿酔い」。いわゆる二日酔いのことだが、中には「大宿酔い」などという記載もある。その苦しみに自嘲しながらも詩作に明け、請われれば書の揮毫もいとわない。その詩人の名を冠した市立草野心平記念文学館▼同日記の編集者で心平と親交のあった粟津則雄さんが館長を務める。日本を代表する仏文学者、批評家であり、21年度日本芸術院賞、恩賜賞が贈られることも決まった。いわき市民にとっても慶事なことだと思う。
片隅抄