永崎海岸の駐車場で車にいた若い男女2人が4人組の男たちに暴行され、金品を奪われた事件の犯人は、神奈川県から広野町の建設現場に働きに来ていたとび職らだった▼福島第一原発とその周辺の双葉郡には全国各地から大量の作業員が送りこまれている。その一部はいわき市の宿泊施設を根城としているのだが、これまでの報道を聞くと、1人1人の氏素性は受け入れ会社でさえわからないという▼以前、遠野町にこれら作業員のための大掛かりな宿舎が建設されそうになったとき、地元が大反対をして中止にさせたが、なるほど、こういうことを恐れてのことだったのだ▼遠く沖縄では米兵による犯罪が後を絶たないが、住民と遠来の作業員の関係はこれによく似ていると思う。もちろん放射線被害の不安の中、過酷な環境で実直に作業をこなしている人たちがほとんどだろう。一部の心無い人間によって厳しい目を向けられるのは悲しいが、これが厳しい現実なのだ。
片隅抄