東電福島第一原発事故の被災者支援を担当する官僚が、短文投稿サイトのツイッターに市民団体などを中傷する書き込みを繰り返していた。被災者に寄り添うどころか、自分の憂さを晴らしていた▼自民党の高市早苗政調会長が講演で「原発事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない」と述べた。原発再稼働に向けた発言だ。原発事故=被ばく=死、という構図を想定した発言だろう▼いまなお避難させられている多くの県民を思うと何とも情けない。死に至る被ばくこそ免れたものの避難の途中、あるいは避難先で無念にも亡くなった県民は数多い。直接原因ではないが遠因だ▼「みんなで一緒に行動」と町民を束ねていた大熊町長をして一部は帰還断念―を明言させられた無念さを思わずにはいられない。前述の2人とも避難者の心に寄り添っているとはとても思えない。まさか原発が収束したとでも考えているのか。フクシマに来て見てください。
片隅抄