年賀はがきが発売され、街中ではクリスマスの飾り付けが始まり、2013年も総括の時期を迎えた。じわじわと慌しくなってきた感がある▼毎年今ごろ必ず何通か届き、一抹の寂しさとともに1年の終盤を実感させられるのが、年賀の喪中欠礼のはがきだ。若いころは、自分あての欠礼状など1通もなかったが、近年は、父母の死を告げるものが友人知己の誰かから送られてくる▼そして今年の1通には、伴侶の死が記されていた。命の長さは誰にも分からぬことながら、年を重ねるということには、こういうことも含まれるのだと、静かに事態を受け入れる一方、久しく会っていない相手に思いをはせる▼四半世紀前の結婚式の記憶をたどり、その後の夫妻の歩みを想像し、そして今この時「悲しみにくれてはいないか」「暮らしは大丈夫か」と案じる。美しい紅葉とその後ろに広がる澄んだ青空に引き込まれる心に、寂寥感という名の冷たい清水が流れ落ちる晩秋である。