成人の日にあたり、20歳の若者にこの言葉を贈ろう。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」▼江戸時代の名君として知られる米沢藩主上杉鷹山の教えである。「できない」と弱音を吐いたとき、自身がよく親から言われてきた言葉でもある。「要はやる気」という意味だ▼学業を終え大人になれば誰もが、親の庇護の下で過ごしてきたこれまでとは全く違う日々を生きていく。一人立ちして歩む次の20年こそが人生の本番だろう。職に就き伴侶を得、子を育てる―そんなごく普通の生活と思える中に、必ずや幾多の壁が立ちはだかってくる▼そこで一番大切なのは、必ず最初の壁を乗り越えることだ。周囲に助けてもらいながらでもいい。1つの壁を乗り越えることができた時に、必ず自分の中に次の壁を乗り越える力が生まれるはずだ。つまり「自らの経験こそが力になる」のだ。だからこそあえて今、やる気の大切さ伝えたく…老婆心ながら。
片隅抄