わが家の玄関は引き戸だが今、市内の新興住宅地などを巡ると玄関は開き戸、いわゆるドアの家がとても多いと気付く。現代的な外壁にも、引き戸より洋風のドアの方がマッチするのだろう▼しかしこの玄関ドア、実は日本仕様だと知った。というのは、欧米の玄関ドアは、一般的に内側に開く。映画などを見ていても確かにそうだ。だが日本の場合は、外側に開くのが普通だ▼この理由の1つに自然災害への備えがあると知り、先人の知恵に恐れ入った。例えば大地震が来た時、外に逃げるには引くよりは押した方がドアは開きやすく早く逃げられる。また台風等の暴風雨の場合、内開きだと雨が屋内に吹き込みやすく、外開きはそれの対策にもなっているというのだ▼とはいえ、個人的には玄関は引き戸好みだ。これも日本人だからだと思っている。チャイムなどない時代の〝ガラガラ〟に続く「こんちは」「元気かい」が懐かしく、引き戸に郷愁が呼び覚まされるのだ。